STARTUP DESIGN

「シリアルアントレプレナーに負けないくらいの強い会社を作ろう!」が基本コンセプト

VCを入れるつもりの無いスタートアップでも知っておいた方が良いこと

自分たちは世の中を変えるスタートアップだと思っている経営者であっても、VCから資金を調達するのは怖い、リスクだ、と考えて自己資金と借り入れだけで経営していこうとしている人は多いと思います。

実際にリスクはあります。

  • 経営者による買い戻しや、譲渡先を探すように求められる
  • 過剰もしくは不適切なハンズオンによって、経営のコントロールを失う
  • 担当者が変わったり業績が悪くなったりした時に株主としての興味を失って、本当に必要な時に必要な支援が受けられない
  • 経営を適切にコントロールするための株主とのコミュニケーションに、一定量の労力を割く必要がある
  • ファンドの満期を意識したExitを模索しなければならない 


一方で、当然メリットもあります。

  • 資金使途さえ間違えなければ、調達資金で経営にレバレッジをかけることができる
  • ボードメンバーに外部から優秀な人を招聘することができる
  • 開発体制や営業部隊を拡充させることができる
  • マーケティング予算を増やすことができる
  • 対外的な企業イメージが向上する


この辺りのリスクとメリットはだいたいの人がイメージ付く部分です。VCから調達したいと思っている人もそうでない人も、これらの要素を天秤にかけた上で判断しているのではないでしょうか。

 

自己資金にこだわった場合のリスクに気付いているか

 

VCからの資金調達でレバレッジをかける気マンマンの競合スタートアップに対して、戦略、戦術、マインドセットなどのあらゆる面で(場合によっては致命的な)遅れを取る可能性があります。そのことを経営リスクとして織り込んだ上で自己資金での経営を選択しているスタートアップの経営者は、さほど多くはないという印象を持っています。

自己資金だけで着実に業績を積み上げていきたいという経営者の意向に反して、競争環境の変化によってVCからの調達を迫られるというのは、最もありがちなケースです。

そういう状況になった段階で、ほとんどの場合すでに競合に対して後手に回ってしまっていて、そこからの挽回に時間を使うことになります。

まず、いざ調達してアクセルを全開にしようと思っても、それまでの経営者や従業員の「堅実」なマインドセットや行動様式を「攻撃」にうまく切り替えるのは本当に難しいです。

調達しようと思ってから自分たちのバリュエーションを決めて、VCとの人脈を作り始め、NDAを結んで経営情報を開示し・・・という動き方をしていたら、時間的な遅れを取ることになります。

企業価値を上げるための経営基盤作りという、はるか昔からの経営戦略の面でも実は遅れを取っていたりします。

それらの要素が積み重なった結果、いざ調達しようとしても想定したバリュエーションで調達できなかった、ということもあるでしょう。VCからの資金調達について、そもそも彼らと十分な接点も持たず偏った情報の中でリスク評価をして、「やっぱり自己資金で」という判断をしているとしたら、それこそが経営リスクであるとも言えます。

 

調達しないリスクにどう備えておいたらよいか

 

自分たちが実現したいビジョン、実現したい世の中やその時の自社の姿、そこに到達するために必要なリソース(どのように実現するのか)と時間(いつまでに実現するのか)を考えてみてください。その際、複数のパターンを想定してみましょう。

そのストーリーの中に「いずれはVCから資金調達をするかも」という選択肢がまったく無いなら、VCについてそれ以上考える必要もおそらく無いでしょう。ただし完全なバイアウト狙いというケースを除いて、おそらくその会社はベンチャーやスタートアップという性質の事業体ではない可能性が高いです。別にそれが悪いというわけではなく、自分や周りの人たちを幸せにするようなビジョンであるなら、スタートアップの激動とは少し遠い世界のビジネスモデルであったとしても、それはそれで十分社会に意義のある企業だろうとも思います。

VCからの調達を少しでもイメージできるなら、彼らとの接点は早めに持っておくべきです。

彼らからのフィードバックによって、ビジョン、経営チーム、開発体制、プロダクトなどについて、その時点での自分たちの客観的な評価や、競合他社との違いを知ることができます。それらの情報を知る過程で、経営基盤の強化やスタートアップとしてのビジョンやマインドセットの浸透という、本来もっと重要であるはずの経営課題や経営判断にさらにフォーカスできるようにもなるでしょう。

投資検討直前になってようやくコミュニケーションを取った場合、検討自体にも時間がかかるし、本当にそこから調達できるかどうかも読めません。幸運にも投資してもらえたとしても、それまでコミュニケーションを取ってこなかったことによって投資後に生じるギャップを埋めたりするのに時間と労力が掛かることになります。

元々VCとのコミュニケーションが取れていれば、いざ投資を受け入れた後の経営体制の再構築も比較的スムーズにできます。

 

まとめ

 

資本政策は財務面での経営戦略の根幹であり、「エクイティストーリー」という言葉もあるように、早い段階から財務面のストーリーを設計して環境変化に応じてチューニングことが重要です。

必要な情報をきちんと集めた上で、ビジョンを実現するための過程として「当面は自己資金で」という経営判断をするのは、やみくもにVC調達に走ろうとするより、むしろ正しい姿とも言えます。

今回とは逆側のテーマ「VCから資金調達しようとしているスタートアップが知っておいた方が良いこと」についてもどこかで書こうと思います。

 

以下宣伝です

 

シード・アーリーステージの起業家限定コミュニティ「STARTUP DESIGN」をFacebookグループ上で運用し始めています。

コンセプトは「シリアルアントレプレナーに負けないくらいの強い会社を作ろう!」です。VCやメディアの方々が発信するコミュニティはすでにたくさん存在するので、ここでは私のような立場の起業家の視点から情報発信や情報解釈を行うことによる現状の打開を模索しています。参加者のみなさんの経営をさらに前へ、さらに良質なものへと変えていくためのきっかけにしていただければ幸いです。

興味があるシード・アーリーステージの起業家の方はぜひご参加ください!