STARTUP DESIGN

「シリアルアントレプレナーに負けないくらいの強い会社を作ろう!」が基本コンセプト

あなたのスタートアップのビジョンは機能していますか?

社会の役に立つ素晴らしい事業を作るためには、強いチームが必要です。強いチームを作るためには魅力的で優れたビジョンが必要です。

では「魅力的で優れたビジョン」とは何でしょうか?

ビジョンを策定する際の大前提として、単語のひとつひとつが腹落ちしているか、経営者自身が本当にそれを実現したいと思えるか、真摯に向き合うことができるかが重要です。

壮大で崇高なビジョンでなくても構いません。身の回りの少数の従業員や顧客を幸せにしたいというのも立派なビジョンになり得ます。フワッとした抽象的・概念的な文言でもOKです。

その大前提を踏まえて、ビジョンは機能しなければ意味がありません。機能しないビジョンはただのお題目です。魅力的で優れたビジョンは機能性を持っています。そこで今回は「ビジョンの機能性」について書くことにします。

 

機能するビジョンはあらゆる判断軸の土台になる

 

例えば「テクノロジーで教育を変える」というビジョンを持つスタートアップがあるとします。その場合、まず最初の判断として、当然事業を教育もしくはその周辺分野にフォーカスさせるはずです。

経営をしていくうちに「やったことないけれど、ゲーム事業の方が儲かりそうだ」のような誘惑がどこかで出てくるかもしれません。この場合、ビジョナリーな経営者は単に儲かりそうだからという理由でゲーム事業に参入するような判断はしません。場合によっては「教育 × ゲーム」のような判断をすることはあるかもしれませんが、それはあくまでビジョンを実現するための手段です。

人材採用においてもビジョンは当然重視されます。「テクノロジーで教育を変える」という言葉に共感して未来を一緒に考えてくれる人、原体験としてそういう分野での課題意識がある人、ビジョンを実現するために必要なバリューを持った人などを、初期の頃から意識的に集めるべきです。

ビジョンを機能させるには、上に挙げた以外にも福利厚生や評価制度など、会社に関わるあらゆる物事をビジョンから落とし込んで設計する必要があります。

 

機能するビジョンは行動に一貫性を与える

 

スタートアップで働くメンバーの中には、経営者の日々の発言や経営判断に一貫性が無い感じがして振り回されていると思っている人も多いと思います。スタートアップにおいて朝礼暮改が日常茶飯事なのは事実です。

その場その場の経営判断だけではどうしても「点」の話になり、意図が正しく伝わりません。

この課題に対して「それを行うことで、ビジョンの実現にどう近づくのか」ということ、つまり「線(=ストーリー)」の部分についてメンバーの理解があるかどうかだけでも全然違います。

リーンスタートアップのように仮説検証を繰り返している局面では特にこれは重要です。初期の頃は日々判断を変えていかなければならない。そのためには昨日決めたことをやめなければならないこともある。場合によっては全く違うアプローチをすることもある。これらの話をビジョンに到達するための逆算したストーリーとして経営者がメンバーに説明して理解してもらうという、いわゆるマインドセットの共有が必要になります。

これができていると社内でのあらゆる活動はビジョンを実現するための手段として紐付くため、同じ朝礼暮改であってもメンバーの納得感は遥かに得やすくなります。

 

機能するビジョンはメンバーへの約束事になる

 

ビジョンは会社が到達する未来を指すだけではなく、そこで働くメンバーへの約束事です。言っていることとやっていることが違えば彼らの心はあっという間に離れます。

言い換えれば、ビジョンが正しく機能している状態の時、それは会社における強力な求心力になります。多少業績が厳しかろうと、いきなり状況に大きな変化が訪れようと、ビジョンが仕組みや企業文化にまできちんと落とし込まれていれば、そこに共感して集まってきてくれたメンバーたちは一緒にその困難を乗り越えてくれるはずです。

 

ビジョンが機能するかどうかは経営者次第

 

真にビジョナリーは経営者はビジョンに対して常に忠実です。いつも同じことを同じフレーズで言い続け、それが実際の行動にも結びついているため、彼らが発する言葉には非常に重みがあります。

ここに書いたような内容は、見方を変えれば柔軟性を欠くようにも見えるかもしれません。しかし意識して実践してみれば分かりますが、実際はそれ以上にメリットの方が多いです。

もうひとつ大事な話として、「そもそもあなたはなぜ起業をしたかったのか?」ということもあります。起業して5年、10年、20年経ったあと、会社はそのビジョンに本当に近づいたのか。ただ売上が増えただけの、創業者自身にとって何の魅力も無い会社になっていないか。

私は「創業者のビジョンと全く違う会社になってしまうこと」は、経営における大きな失敗であり、もし自分がその当事者だったら、何よりもそのことにとても後悔するだろうと思っています。

だからこそ自分自身のビジョンに対して常に忠実であり続けたいです。