「UXとかグロースハックみたいなユーザー体験ばかり熱く語る人より、市場(マーケット)ばかり熱く語る人の方が成功している気がするんだよなぁ」
日頃親しくさせていただいているリトルライト社長の野村さんがこんな感じのことを言っていました。これを聞いた時、正直ハッとさせられました。
私も彼も、ユーザー体験についてあれこれ考えたり熱く語ったりするのが大好きな人です。クリエイターとして日々の仕事に携わっている人の大半は同じかもしれません。
ユーザー体験ばかり熱く語る人と、市場ばかり熱く語る人。Webサービスの業界だけで見ても、それぞれの典型的な起業家を思い浮かべてみると、たしかに後者の方が事業として成功している感じはしてきます。
市場を熱く語ることがなぜ重要なのか
よく混同されがちですが、市場というのは単なるマネタイズ手法の話ではありません。「経済圏」のような言葉の方がニュアンスとしては近いかもしれません。
では市場について熱く語ることがなぜ重要なのでしょうか。思いつく範囲でいくつか挙げてみます。
- その市場について思考が整理&成熟されてくる
- 見落していたポイントが見つかる
- 人とは違うキャッシュポイントが見つかる
- 切り捨てるべきポイントが見つかる
- 市場の選択が誤っているかもしれないことに気付く
「人とは違うキャッシュポイントが見つかる」というのはこの中でも特に重要である可能性があります。それは急成長するスタートアップに必要な要素とされる、「狂ったアイデア」に通じるからです。
市場を熱く語れていない=プロダクトマーケットフィットの検証が不十分の可能性
リーンスタートアップに関する書籍を読んだことがある人なら、Problem/Solution Fit(PSF=解決すべき課題に対して最適な解決方法の発見)とProduct/Market Fit(PMF=解決方法と市場の一致)という言葉はご存知かと思います。
ユーザー体験について熱く語っているというのは、Problem/Solution Fitの実現手法について語っているのとほぼ同義です。
一方で、Product/Market Fitには文字通りMarket(市場)が含まれています。自分のサービスのユーザー体験についてばかり熱く語っている人は、Product/Market Fitを正しく評価できているか、もう一度見つめ直してみてもいいかもしれません。