最近の仕事として、コンサル業と並行していくつかの事業会社の新規事業立ち上げにディレクターとして関わらせていただいています。開発側や企画側と連携しながら結構自由にやらせていただいておりまして、例えば以下のような所で頭や手を動かしています。
- カスタマージャーニーの設計
- ペーパープロト作り
- サービス運営体制の構築
- 初期のKPIの設定とモニタリング
- マーケティング施策の検討と運用
上記の前にまず重点的に取り掛かることとして、Unique Value Proposition(=UVP、独自の価値提案) を決める作業があります。スタートアップ界隈の人にはおなじみのリーンキャンバスに出てくるアレです。
UVPが決まると、「最も重要な顧客が誰なのか」「捨てても良いものかどうかの判断基準」が明確になります。プロダクト開発やマーケティングにおいて重要だと言われる引き算の発想もしやすくなります。
一方で、「狙っている市場にいる多くの潜在顧客を獲得するために、あれもこれも盛り込みたい!」という人に対して、なぜそれを捨てた方が良いのかを理解してもらうのも結構大変です。
そのような時にUVPの説明と一緒によく例として出すのがライザップです。大抵の場合、ライザップを事例として出せばUVPの重要性を理解してもらえます。
ライザップに見るUnique Value Propositionの重要性
ライザップが事業として今後も成長し続けられるかどうかはさておき、この会社のUVPの定義の仕方はとても優れています。
ダイエットという大きな市場を狙おうとした場合、ダイエット願望がある人全員が見込客であると考えたくなりがちですが、少なくともこの事業において、彼らはそうはしませんでした。また、彼らが発明した『結果にコミットする』というUVPは独自の価値の提案というだけに留まらず、独自の価格設定も生み出しました。
ライザップのUVPの考え方はダイエットだけでなく、ゴルフや英会話にも応用されています。
「刺さる人にはものすごく刺さる」のが良いUVP
良いUVPを作ることは、誰に対して価値を届けたいのかというメッセージ性を強化し、戦略やオペレーションの洗練につながります。
UVPをきちんと定義することでプロダクトから余計な機能を落とすことができます。単にシンプルで使い易いというだけでなく、誰に対してどんな価値を提供したいのかという強い意志がプロダクトそのものから感じられる仕上がりになることでしょう。
マーケティングにおいても、本当にプロダクトの価値を届けたい相手に対してどうやったら届けることができるか、ということだけに集中できるようになります。
これらを体系立てて考えられるチームであれば、セールスやカスタマーサポート、さらには事業を支えるためのあらゆるロジックを丁寧に設計できるはずです。
顧客に愛され、競争力のある強いサービスを生み出すための第一歩として、まずUVPを定義する所から始めてみることをオススメします。